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【火の太鼓】
福井県坂井市の港町、三国の太鼓。やや斜目に横置きされた二尺四寸の長胴太鼓に対し、「地方(じかた)」がベースのリズムを刻んで「大打ち」が即興的に打ち込んでいく。石川県などに見られる虫送りを彷彿とさせる打法だが、三国の近隣には見られない打法という。
福井県北部では古くから神社の祭りなどで「野良打ち」という太鼓が楽しまれてきた。やはりベースのリズムを打つ者がいて、そこに即興的に打ち込んでいくのだが、伏せ置きの長胴太鼓を用い、上から打ち下ろすスタイルである。いつの頃か、現在の大きな太鼓が三国の物となり、横打ちで打つことを工夫したのではないだろうか。
もとは「三国太鼓」と呼ばれていた。昭和41年に松竹で「火の太鼓」という映画が作られ(倍賞千恵子、竹脇無我)、その太鼓を三国太鼓の故下村圭一氏らが指導・演奏をしたことから改名。古くから伝わるレパートリーに創作太鼓のようなタイトルが付けられたのもこの頃のことらしい。ちなみに下村圭一氏は、林英哲が自著「あしたの太鼓打ちへ」の中で、大太鼓を指導してくれた人物として紹介されている。昭和47年に三国町無形文化財に指定され、合併を期に坂井市無形民俗文化財となる。
〈 東尋坊荒波乱れ打ち〉
古くは「打ち込み」と呼ばれた曲。小打ちが均等に打音を刻む中、大打ちが力強く打ち込んでいく。柳の反り返った枝による奏者手製のバチを用い、弾ませずにバチの腹を打ち付けるようにして、重くズシンと響かせる。
〈火の太鼓〉
かつての通称は「三つ打ち」。その名の通りトコトンという浮き立つ三連打がベース。大打ちは樫バチを用い、軽快に弾む音を乗せていく。前曲同様に「野良打ち」の伝統を継いで演奏を途切らせることなく打ち手が入れ替わるが、この曲では大打ちが背合わせに回って入れ替わる。特に「巴巻」と呼ばれ、火の太鼓の特徴となっている。 誰もが自由に打ち興じてきた「野良打ち」のリズムを核としながらも、大きな太鼓による見栄えの良い打ち方や奏者が入れ替わるときの優雅な巴巻など、舞台芸能として再構築されている。昭和三十年代に有志が集って始められたもので、地元の温泉施設に演奏する場があったことが、芸を磨き上げることに役立ったと思われる。
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